1998年8月から1999年6月にかけて,アイルランドの南沿岸域で,底引き網,延縄,ロブスター,エビ漁船を用いて,166匹のアナゴ(Conger conger, Linnaeus, 1758)を捕獲した。 体長は33-159cm、体重は0.05-12.0kgであった。 脊椎骨と矢状耳石から決定される年齢は4〜20年であった。 椎骨は年齢判定に最も有効な手段であることがわかった。 全長と耳石半径の間には直線的な関係が見出された。 全長と椎骨の半径の関係は曲線モデルが最もよく説明された。 耳石と脊椎骨の両方を逆計算の手法で用い、von Bertalanffy成長関数を当てはめた。 脊椎骨と耳石の両方の測定値から個体群成長曲線が作成された。 成長パラメータであるL∞とkは、値に大きな幅がある個体について推定された。 耳石からのL∞は170から320m、kは0.01から0.09の範囲であった。 脊椎骨からのL∞は130から390mで、kは0.01から0.13であった。 耳石からの個体数推定はL∞271cm, k=0.037, t0=-1.396,脊椎骨からの個体数はL∞214cm, k=0.059, t0=-1.960 という結果であった。 コンディションファクターは0.03から1.73、生殖器官指数は0.53から7.05の範囲であった。 コンディションファクターは夏から秋にかけて、性腺体格指数は秋から冬にかけて最も大きくなった。 生殖腺の外観からウナギの性別を決定することはできなかった。 生殖腺を組織学的に分析した結果、すべてのアナゴが雌であることが判明した。 南方沿岸の内水面には雄がおらず、熟した雌や使い終わった雌もいないことから、アナゴは産卵のためにこの海域を離れていることが示唆された。 本研究は,北東大西洋における本種の個体群の年齢,成長,生殖腺の発達に関する初めての発表データを提供した
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