Dielectric Breakdown and Post-Breakdown Dissolution of Si/SiO 2 Cathodes in Acidic Aqueous Electrochemical Environment

図1aにSi/SiO2/バッファ電気化学系の代表的な電流-電圧特性を示した。 カソード掃引中、電流は-3.7 Vの電位以上で徐々に増加する(黒線)。 その後、同じ電位範囲でカソードスキャンを行うと、再現性のある電流-電圧曲線が得られます(オレンジ色の曲線)。 2Vでの誘電特性の回復の可能性を排除するために、-3Vから始まる後続のスキャンを行ったところ(青色曲線)、以前のものと同様のボルタンモグラムが得られた。 このことから、再現性のある曲線は誘電体膜の電気的再生の結果ではないことがわかり、DBがまだ発生していないことがわかる。 電流が徐々に増加するのは、酸化膜への電荷注入によるもので、DB5以前の誘電体材料に欠陥が発生した結果であると考えられる。 欠陥の正確な化学構造は完全には解明されていないが、水素関連欠陥がDBに大きく関与していると考えられる。 Si-H-Si構造を持つ水素橋欠陥は、SILCに電子トラップを提供するだけでなく、SiO2の還元を触媒し、酸化物の化学量論を破壊する酸素空孔を生成する2,3,4。 電流-電圧関係は、定電圧ストレス(-4 V)(図1b)でも、さらに負電位への電流-電圧掃引(データなし)でも、5~6桁大きな電流が流れた後に大きく変化し、Si/SiO2電極表面に永久的な化学変化または物理変化が生じたことを示唆している(図1aの赤色のカーブ)。 この変化は、導電性Siからの酸化物の剥離では説明できない。なぜなら、破壊後に得られた直線掃引ボルタモグラムは、HF化学エッチング後にPBS溶液に直接さらされた裸のSiで得られたものとは大きく異なっていたからである(図S1)。 一方、Si/SiO2電極では、水素発生反応が-0.7Vという穏やかな過電位から始まるのに対し、絶縁破壊後は-2.3V付近から始まった。

Figure 1
figure1

0.1 M PBS (pH 3) 中の6 nm厚のSiO2膜を持つ高ドープn型Si電極の特性電気化学挙動を示す。 電極の大きさは5×5μm2。 電位はすべてSCEを基準としている。 (a) 連続したリニアスイープボルタモグラム(20 mV s-1)。 第1(黒)と第2(オレンジ)のボルタモグラムは-2 Vで始まり、第3(青)のボルタモグラムは-3 Vで始まる。第4(赤)のボルタモグラムは、(b)に示すように、ブレークダウン後に得られた。 (b)3回目と4回目のボルタンモグラムの間に行われたクロノアンペログラムで、電位を-4Vに保持した。経過時間55秒後の絶縁破壊で電流は測定限界を超えている

一定の電圧ストレスで、フィルムの時間依存型絶縁破壊(TDDB)が生じる(図1b)。 DBの前には、欠陥濃度の上昇に起因する「ストレス誘導リーク電流」(SILC)と呼ばれる小さなリーク電流が観測された(図S2)。 ブレークダウンタイム(tbd)と呼ばれる一定時間経過後、電流がsub-nAからμAへと突然増加し、DBを示す(図S3)。 この急激な上昇の後、電流は不規則に増加することが観察された。tbdは数秒から数百秒まで大きく変化した。 パーコレーションモデルによれば、tbdの大きな偏差は誘電体薄膜の一般的な特性である3,19。

固体電子の文献によれば、様々な酸化物材料のDBは、一般にその酸化物構造の比較的弱い領域で発生することが知られている20。 この弱い領域は、欠陥の多い部分や誘電体膜の薄い部分と考えられるが、その正確な物理的・化学的特徴はまだ不明である。 今回のSECMの結果からも、固相で研究されたのと同様の局所的な絶縁破壊の発生が確認された。 ノーマルフィードバックモードで得られた200×200μm2のSi/SiO2基板電極のSEMおよびSECM像から、物理的欠陥のない滑らかな基板表面の存在が確認された(図S4)。 DBの前後で、10 mM Cl3/PBS溶液(pH 3)中で、200 × 200 μm2の領域にわたるSECM基板生成チップ収集(SG-TC)画像を取得した(図2)。 画像には、基板で発生した2+の収集と再酸化(Esub = -1 V)により誘発されるチップ電流(Etip = + 0.1 V)が表示されています。 図2aは、測定領域内の酸化膜にピンホールがないことを確認し、図2bは、Esub = -4 Vで電流が急激に増加した後、約10秒以内に発生したSi/SiO2局所伝導スポット(「C1」と呼ぶ)を示し、ここで大きなチップ電流が流れることが観察されています。 C1で測定された最大の先端電流は約55.5pAであった(Fig. 2b)。 DBに続く更なる定電圧印加により、導通スポットの数が増加するとともに、先に発生した導通スポットでの電流の増加も見られた。C1では0.224 nA、更に750秒間の-4 V印加により2つの新しい導通スポット(C2およびC3、それぞれ82.6 pAおよび0.101 nA)が現れた(図2c)。 続く200秒間の-4V印加により、チップの集電電流はさらに増加した。 最大電流はC1で5.02 nA、C2で3.30 nA、C3で3.50 nAに達した(Fig. 2d)。 これらの結果から、破壊後のダメージが導通スポットを拡大していることが推察される。 図S5aは、図2dと同じSi/SiO2基板の結果SEM画像である。 DB後さらに950秒間の定電位供給により、表面酸化物が除去された凹型の導通スポットが生成されていることがわかる。 最終的な導通スポットの構造は、長方形の投影形状の2つ以上の隣接する凹型導通スポットの接続を介して開発されているようである(図S5b)。 各凹型構造の投影表面積は4.268μm2から25.16μm2である。

Figure 2

SG-TC モードで得られた200 × 200 μm2 Si/SiO2基板電極のSECM画像。 10 mM Cl3/0.1 M PBS (pH 3)中で+0.1 Vの電位を持つチップの2+酸化電流を、Si/SiO2基板に-1 Vを印加しながらモニターした。 チップ-基板間距離は10μm、スキャンレートは50μm s-1であった。 チップ電流(カラーコンター)の単位はnAである。 (a) ブレークダウン前、(b) 0.1 M PBS (pH 3)中のSi/SiO2基板に-4 Vを印加し、電流が急激に増加した後の10秒後。 (b)のSi/SiO2基板に0.1M PBSで750秒と950秒の-4Vを印加した後。 Burlington, MA)を用いたシミュレーションでは、直径10μmの先端電極が、10μmの距離にわたって円盤状のソース(φ100nm~5μm)から発生する生成物の約56%を収集できることが明らかになりました(図らずも)。 伝導スポットがディスク型超微小電極(UME)であると仮定すれば、そのサイズは式(1)を用いてチップ電流から計算することができる。

$${i}_{mathrm{lim}}=4nFDCaldots \ldots $$
(1)

ここでi limは測定限界電流、nは電子数、Fはファラデー定数、Dは2+の拡散係数 (9. 10)、Fは電子数、Dは2+の拡散係数である。12 × 10-6 cm2 s-1、文献21,22から計算)、Cは3+の濃度、aは電極の半径である。

図2dの先端電流の局所最大値から推定したC1、C2、C3のサイズは、円形を仮定するとそれぞれ直径5.094 μm、3.347 μm、3.552 μmであった。 図S5cに示すように、実際の伝導スポットは、SECM先端電流から推定した対応する円盤とかなり近い寸法である。 このことは、円盤状の導通スポットを仮定して最大の先端電流を利用する戦略が、凹型の導通スポットのおおよその大きさを推定するのに適していることを示唆している。 Figure S6 は、0.1 M PBS 中に Esub = -4 V の連続電圧印加による電流サージ後、早い段階で生じた伝導スポットの SEM イメージである。 興味深いことに、Si/SiO2 上で DB を行った後、一定電位(-4 V)を約 10 秒間と約 100 秒間供給すると、表面酸化物がまだ部分的に Si 上に残っていながら、長方形の突起面を持つ凹型構造 が現れた。 このように表面酸化物が部分的に存在するため、測定したSECMチップ電流から見積もったサイズは、SEM画像で観察された実際の凹部領域(2.5μm)よりもはるかに小さい(図S6a、S6b、S6cではそれぞれ2894 nm2, 923.5 nm2, 0.5917 μm)ことがわかった。674μm2、Figure S6aで2.305μm2、S6bで10.11μm2)。

DB後に生じた凹部構造の形態は、図3に示すように逆ピラミッド状であることが分かった。 DB前は、-4Vで250秒の定電圧ストレスがかかっていたが、Si/SiO2の表面酸化物には物理的なダメージは観察されなかった(図らずも)。 したがって、逆ピラミッド構造は絶縁破壊後の現象として現れたと推察される。 図3bより、ウェハの側壁と{100}面の角度は55°であり、新たに生成した結晶面はSi{111}23であることが示唆された。 TEM分析により、Si{111}側壁は複数のステップで原子的に荒れていること(図3d)、一方、ダメージを受けていないSi{100}表面は原子的に滑らかであること(図3c)が明らかになりました。

Figure 3
figure 3

カソードブレークダウンとブレークダウン後のエッチングにより生じた逆ピラミッド構造のSEMおよびTEM像の代表的な例。 (a)の黄色の点線で示した軌跡に沿った上面図と(b)の断面側面図のSEM画像。 (c)ダメージを受けていないSi{100}面((b)の黄色い点線の円)と(d)Si{111}面の段差を示す逆ピラミッド構造の側壁((b)の赤い点線の円)の断面TEM像。

破壊後の損傷は、大きな電流が非常に狭いパーコレーション経路を流れるため、酸化物内の局所伝導経路のジュール熱で説明されることが多い3,5。 固体素子におけるシリコンのエピタキシャル成長やゲート金属の焼損など、さまざまなタイプのポストブレイクダウンダメージが報告されている。 誘電体膜を水系電解液に直接接触させると、ナノスケールの孔が形成されることがある24,25。 このナノスケールの孔の生成は、DBにより化学量論が変化した誘電体膜中のパーコレーションパスが溶解することに起因している26,27。 我々の実験では、逆ピラミッド型構造はパーコレーションパスの溶解後に現れると予想され、フラットエッチングされた結晶面が示すように、Siの溶解反応によって作られたと思われる。 この溶解仮説は、溶解した領域に部分的に覆われた酸化膜によって支持される(図S6、S7)。 Liuらによると、カソード溶解は、カソードがアノードよりはるかに小さい場合、湿度の高い大気中で数十から数百ボルトの外部応力下で起こる28。 彼らは、カソード近傍のHERによるpH上昇によって、カソード溶解が促進されることを示唆している。 我々の研究における逆ピラミッドの生成(Fig. 3)も同様に説明できる。近傍のHERによって狭い伝導スポットで局所的にpHが上昇し、下地のSiの溶解を誘発するのであろう。 伝導領域が大きければ大きいほど、HERが多く発生するのは当然である。

上記のように、Si/SiO2伝導スポットではHERが抑制され、Si{100}ウェハよりも大きなオーバーポテンシャルを必要とする。 これは、伝導スポットで生成されるSi{111}側壁の安定した水素終端表面によるもので、水素原子はカソード電位でSi表面を終端する29。 Siの結晶面の中で、{111}面は最も安定な水素終端を形成している30。 その結果、Si{111}表面への強い水素吸着により、DB後のHERは他の結晶表面よりも大きなオーバーポテンシャルを必要とし、より緩慢になる。

これらの知見を基に、図4に示すように、酸性条件下でのSi/SiO2のDBとポストブレイクの機構を提案した。 まず、印加されたカソード電位によってSiO2膜内に生成した欠陥が、Siと溶液をつなぐパーコレーションパスを通じて伝導スポットを作り、これを「DB」と呼び、このパスが酸化物から溶出される。 第二に、Siのカソード溶解は、HERが狭い伝導スポットの局所pHを上昇させるため、ポストブレークダウン溶解として起こる。一方、Si{111}表面は連続的に露出し、水素で終端される。 図4

figure4

酸性条件下におけるSi/SiO2の分解と分解後の機構の模式図。

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