脾弯曲腫瘍の患者において下行結腸が完全に右腹膜外腔に、S状結腸が右象限に位置した症例報告:稀な異常 | Minions

討論

S状結腸は大腸の中で長さや位置に最も変異がある部分である。 一方、下行結腸の位置異常は非常に稀である。

胚の腸は前腸、中腸、後腸の3つの部分からなる。 後腸は遠位1/3横行結腸,下行結腸,S状結腸,直腸,近位歯状線からなる。 この発達は3期に分けられる。 結腸が後腹膜に固定されるのは第3期である。 下行結腸は前方、側方ともに腹膜に囲まれている。 長さは約30cmで、大腰筋と腰方形筋の間の谷からやや正中、垂直下方に進行する。 下行結腸は主に後腹膜に固定されており、実質的な腸間膜はない。

Shrivastava らはこの異常を最初に記述し、彼らの死体研究において大きく4つの部分に分けている。 第一の部分は脾弯曲から腸間膜の根元にそって右側に斜めに伸び、臍四分円を横切り、L5高さで正中線の右3.5cmに位置する。 第2部は上方へ,右方向へ曲がり,L2レベルまで上昇する。 第3部は上行肢の右側で斜めに下降し,骨盤の鍔まで達した。 第4の部分は、右仙腸関節から第3仙骨体まで伸びている小骨盤の中にあった。 本症例ではCT横断像上、下行結腸は後腹膜を斜めに覆っていた。 下行結腸は最初左腎臓下極と左尿管の手前で左側へ向かっていた。 下行結腸は下腸間膜動脈起始部の上方で大動脈を通過している。 腰椎椎間板2-3の高さで正中線を横切った。 L5椎体の高さで下行結腸は正中線から2cm右側に並んでいた。 下腸静脈も下行結腸と一緒に正中線を右へ横断していた。 S状結腸は全体として右下腹部に位置していた。 下行結腸はL4-5椎体の高さで前方に曲がり、S状結腸を形成して腹膜腔に入り込んでいる。 このレベルは大動脈分岐部より4cm下、後方には右大腰筋と右尿管がある位置であった(図2)。

静脈内造影による軸位CT検査で脾弯曲壁(白矢印)に腫瘍の肥厚が認められる(a)。 下行結腸は後腹膜に左から右へ斜めに並んでいる(矢頭)。 右下腹部に横行結腸(b)S状結腸(e,f)。 全切片で腫瘍レベルまで小腸・大腸ループに閉塞性拡張を認める

解剖学的適応を与えた上で下行結腸を近位から動員することにより開腹による異常結腸セグメントの剥離が可能となった

結論として、術前の横断画像法による精査で検出可能な稀な異常について報告した。 特に緊急手術が必要な症例では、合併症予防のために術前に検討すべき主要な先天性大腸異常である

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