内視鏡的逆行性胆管膵管造影法における幻の胆嚢 | Minions

CASE REPORT

73歳男性が右上腹部の不快感、脂肪食不耐性、膨満感の訴えを呈した. 1996年10月初旬に待機的腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した。 手術中にJ-Pドレナージチューブが留置された。 ドレナージは当初濃い血性で、その後胆汁性になったが、数日かけて徐々に透明になった。 患者は1週間後に自宅退院した。 術後6ヶ月目の1997年5月に腹部CTのフォローアップ検査が行われた。 胆嚢窩や腹腔内に液体の貯留はなかった。

患者は胆嚢摘出術から6年後の2002年10月初旬に発熱、悪寒、右上腹部の軽い痛みを訴えるまで順調であった。 腹部超音波検査では,肝内管と総胆管は非拡張で,肝臓は正常な大きさであった。 特筆すべきは、胆嚢窩に胆嚢様構造物を認めたことである。 腹部CTにて胆嚢窩に4cmの被包性液貯留を確認した(図(Figure1).1)。 その後のHIDA検査では、胆道漏出を認めず、放射性トレーサーは速やかに小腸に排泄された。 その後、CTガイド下経肝的腹腔内吸引術が行われた(図(図2).2)。 肝外液溜から濁った外観の液体が容易に吸引された。 吸引した液のグラム染色では、多くの白血球の存在が確認された。 培養では吸引液から中等度のEnterobacter SPが陽性であった。 持続する微熱はCTガイド下吸引後まもなく治まり,腹部愁訴もなく自宅退院となった. 2004年8月(吸引22ヶ月後)、腹部CTを再検査したところ、胆嚢窩液の貯留は認められなかった。 オブジェクト名はwjg-13-6274-g001.jpg

腹腔鏡下胆嚢摘出術から6年後の腹部CT検査です。 胆嚢窩に4cmの被包性液溜(黒矢印)、隣接して「膀胱管様」液溜(白矢印)を認めた。

 画像、イラストなどを保持する外部ファイル。 オブジェクト名はwjg-13-6274-g002.jpg

CTガイド下経肝経皮吸引針(白矢印)が肝外液溜(黒矢印)に入るのが確認できた。

2006年5月に突然の腹痛、黄疸、発熱で再度入院となった。 CT検査で総胆管の拡張を認めた。 MRCPでは肝内・肝外胆道拡張と遠位総胆管内に円形の低信号充填欠損を認めた。 ERCPでは、胆管造影で近位総胆管の軽度拡張と2個の移動性結石を認めた(図(図3A).3A)。 また、胆嚢窩に総胆管と連絡する胆嚢様構造物を視認した(図(Figure3B).3B)。 括約筋切開を行い、CBDから多数の結石片を摘出した。 遠位総胆管にプラスチック製の胆道内挿術(10F)を留置した。 ERCP施行2日後,合併症,違和感なく自宅退院となった. 1ヵ月後,ステントを抜去し,総胆管は正常であった. 幻の胆嚢像が胆管造影で再浮上した。

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ERCPで総胆管内の石灰化(白矢印)を認めた(A)。 また、胆嚢様構造物(黒矢印)が膀胱管(白矢印)を介して総胆管と連絡していることも確認された(B)

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