1 Introduction
tRNAのフォールディングと安定性は効率的な翻訳に不可欠であり、どちらの特性にも欠陥があるとtRNAの量が減り、酵母の成長障害やヒトでの疾病につながる (Hopper, 2013; Yarham, Elson, Blakely, McFarland, & Taylor, 2010). 酵母Saccharomyces cerevisiaeでは、欠陥のあるtRNA種を分解する2つの主要な細胞品質管理経路が知られている。 第1の経路は核監視経路であり、核エキソソームとTRAMP複合体を用いて核内のプレtRNAに作用する(Kadaba, Wang, & Anderson, 2006; Vanacova et al, 2005)、m1A58修飾を欠くプレ-tRNAiMetや3′トレーラーの加工を誤ったプレ-tRNA(Ozanickら、2009)、一部の野生型(WT)プレ-tRNA(Gudipatiら、2012)を分解することによって行われる。 第二の経路は、RTD(rapid tRNA decay)経路であり、5′-3′エクソヌクレアーゼRat1とXrn1の活性によって特定の成熟、低修飾、不安定なtRNA種を分解する(Alexandrov et al, 2006; Chernyakov, Whipple, Kotelawala, Grayhack, & Phizicky, 2008)。 RTDは、tRNA本体のいくつかの修飾のいずれかを欠いた変異体や不安定化変異によって誘発され、同定されたすべてのRTD基質について、MET22欠失はtRNAレベルおよび成長を完全に回復させる(Alexandrov et al, 2006; Chernyakov, Whipple, et al., 2008; Dewe, Whipple, Chernyakov, Jaramillo, & Phizicky, 2012; Guy et al., 2014; Kotelawala, Grayhack, & Phizicky, 2008; Whipple, Lane, Chernyakov, D’Silva, & Phizicky, 2011)のように、様々な種類の基質が存在する。 met22Δ株におけるRTDの抑制は、Met22が阻害されるとレベルが上昇する代謝物3′-phosphoadenosine-5′-phosphateによるexonuclease Rat1およびXrn1の阻害によるものと推定されている(Dichtl, Stevens, & Tollervey, 1997; Murguia, Belles, & Serrano, 1996)。
RTDはいくつかの特定のtRNAに作用することが知られており、7つのアプローチで同定・研究されている(図1)。 最初のアプローチは、マイクロアレイを用いて、trm8Δ trm4Δ温度感受性修飾変異体(m7G46とm5Cを欠損)と関連株のtRNAレベルを半減期条件下でゲノム規模で比較することであった。 このようにして、RTD基質であるtRNAVal(AAC)が、trm8Δ trm4Δ変異体ではWTまたは対応する単一変異体に比べてtRNA量が減少していたことから、同定した (Alexandrov et al., 2006)