重要文化財|地獄の十王|奈良国立博物館

地獄には十王がいるといわれ、その一人は閻魔(えんま)大王である。 死後七日目から七十七日目までの七日ごと、百日目、一周忌、三周忌に死者を裁くのだそうです。 中国では10世紀ごろに描かれたこのモチーフの絵が現存している。 日本には宋・元時代の作品が多く伝わり、呂新忠の作品はその代表的なものであった。 今回紹介する絵の署名の様式は、一部見えないが、奈良国立博物館に所蔵されている呂新中作「仏涅槃図」の署名と同じものである。 いずれの巻物も、玉座に座った王が役人を従えている様子が描かれている。 その前で、罪を犯した者がいくつかの方法で処罰される。 呂新中の絵は、物の配置が密で、技法が緻密であることが特筆される。 王たちの背後の立屏風には、水墨の山水画が描かれている。 他の絵の中に描かれたこれらの山水画は、日本の水墨画に何らかの影響を与えたのではないかと想像すると面白い。
奈良国立博物館名品展. 奈良国立博物館, 1993, p.44, no.29.

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